リハヤートのメモリーノート

リハビリテーション医が、忘備録として思いついたことをつづります

2020-01-01から1年間の記事一覧

認知症 AD,DLB,FTD 

認知症で有名なものとして、アルツハイマー型認知症(AD)、脳血管性認知症、びまん性レヴィ―小体病(DLB)、前頭側頭型認知症(FTD)などあります。 認知症学会からAD,DLBD,FTDについての講演をまとめてみたいと思います。 (1)アルツハイマー型認知症(AD) …

咳について

咳嗽(がいそう)とは咳のことですが、内科学会で特集されていました。 (1) 急性咳嗽 一般的に咳と言えば急性感染で多いですが、急性咳嗽は発症後1週以内のことを指し、感染原因としてはライノウイルスが最も多いです。 感染咳嗽の場合、細菌感染は一か所の…

脳梗塞急性期の血圧上昇の対応

脳梗塞急性期は、一般に血圧が上がりやすいですが、安易な降圧は避けたほうが良いとされています。 脳卒中治療ガイドライン2015 脳梗塞急性期では、収縮期血圧>220mmHgまたは拡張期血圧)120mmHgでは、慎重な降圧療法を考慮しても良い(グレードC) グレード…

りんごと糖尿病

林檎(りんご)から薬になったものがあります。 林檎は医者いらずと言いますが、薬にもなるとは・・・ 薬の歴史についてですが、林檎の樹皮からフロリジンという物質が分離されました。 フロリジンは腎臓の近位尿細管からブドウ糖再吸収を阻害することから、…

NMOSD サトラリズマブ(IL-6をターゲットにした治療)

NMOSDは、IL-6が病態に重要な働きをすると考えられています。 類似疾患である多発性硬化症や非炎症性疾患と比較してもIl-6は優位に上昇しています。 (1)IL-6は以下のような順番でAQP4産生に関わっているとされています。 IL6が、CD4陽性T細胞の炎症性Th17…

NMOSDとは

NMOSDは自己免疫疾患の一つで、抗AQP(アクアポリン)抗体陽性の患者さんが多いです。 疫学 日本で4300人程度 男女比は1:9 30代後半から40代前半に発症 機序 中枢神経系は神経細胞とグリア細胞で構成されています。 グリア細胞は次の3つからなります。 ①ア…

NMOSD エクリズマブ(補体をターゲットにした治療)

NMOSDは、抗アクアポリン4抗体(抗AQP抗体)が原因とされるものが有名です。 抗AQP抗体は、血管内皮細胞の形質細胞から作られます。 抗AQP抗体陽性の92%が再発するといわれ、妊娠、出産が再発リスクを上げるとされています。また5年以内に10%の方が失明す…

IVES

脳血管障害に対してリハビリテーションを行いますが、その治療法の一つとして電気刺激療法があります。 治療的電気刺激はTES: Therapeutic Electrical Stimulationと言われます。従来低周波治療器を用いたりしていましたが、自分の意思とは関係なく刺激によ…

進行期パーキンソン病の合併症

L-DOPAはドパミンの前駆物質で、治療薬として使用されますが、中枢に行く前にL-アミノ酸デカルボキシラーゼによりドパミンに変換されます(約70%)。それを防ぐため、カルビドパ、ベンゼラチドを併用します。また、L-DOPAは、一部COMTにより3-OMDに変換され…

パーキンソン病の薬 まとめ

最近パーキンソン病の新薬が出てきています。 新薬といっても作用機序は同じ薬が重なってきており、それぞれの売り文句を認識しないと混乱しそうになります。現時点で整理する意味で簡単にまとめてみます。 DA agonist L-DOPA投与の次のチョイスあるいは若年…

パーキンソン病 進行期でみられる薬物関連症状

パーキンソン病の進行期で出現するものを整理します。 (A) まず紛らわしいものとして Wearing-off L-DOPAの効果が切れることにより運動症状が変動 on-off 服用時間に関係なく急激な症状の軽快と増悪が繰り返される no-on/delayed-on L-DOPA効果が見られない/…

パーキンソン病 診断基準と治療 ガイドライン

パーキンソン病の診断基準は、国際パーキンソン病・運動障害疾患学会(MDS)の診断基準に準拠されています。 具体的には、パーキンソニズムが存在し、(1)絶対的除外基準に抵触しない、(2)少なくとも2つの支持的基準に合致する、(3)相対的除外基準に抵…

神経伝達物質

今回は、神経伝達物質について整理します。 神経伝達物質の中でモノアミン系神経伝達物質があり、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンがあります。モノアミン伝達物質は更にカテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)とイ…

脳卒中と食事

脳卒中には脳梗塞、脳出血、くも膜下出血とありますが、その中でも脳梗塞、脳出血はいわゆる生活習慣病で起こります。 生活習慣病は、高血圧、高脂血症、糖尿病が三大疾病です。 脳出血は生活習慣病が原因となる場合は、大部分が高血圧が原因とされ、その他…

CIDP

日本神経学会総会より 脱髄疾患の病気としてCIDP (chronic inflamatory demyelinating polyneuropathy)という病気があります。Guillain-Barre症候群といって末梢神経が急速に障害されて起こる疾患がありますが、ざっくりいえば慢性的に進行する病気です。 最…

筋力をあげるには

リハビリと言えば必ず出てくるのが、筋力増強させるには何をしたらよいかということです。 そこで運動の種類で等尺性収縮、等張性収縮というのがあります。等尺性収縮というのは字の通り、筋肉の収縮は変えないでその状態を保つというもの。具体的にはバーベ…