リハヤートのメモリーノート

リハビリテーション医が、忘備録として思いついたことをつづります

パーキンソン病の薬 まとめ

最近パーキンソン病の新薬が出てきています。

新薬といっても作用機序は同じ薬が重なってきており、それぞれの売り文句を認識しないと混乱しそうになります。現時点で整理する意味で簡単にまとめてみます。

 

DA agonist

L-DOPA投与の次のチョイスあるいは若年のPDに使用します。

最近は非麦角系で、特にD2選択性が強い薬がメインです。

プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチンがあり、ロチゴチンは貼付剤のみです。最近ロピニロールの貼付剤も発売されました。

またレスキュー薬としてD1,D2選択性のアポモルヒネもあります。

ICD(Impulse control disorder)衝動制御障害、幻覚、不眠など精神症状をきたしやすいです。

進行してくるとWearing offや、ドパミンレセプターへのパルス刺激によるジスキネジアを起こしやすいとされ、CDS (continuous dipaminergic stimulation)という概念があります。このため徐放剤や貼付剤が使用されることが多いです。

精神症状以外には①悪心、嘔吐、など消化器症状②起立性低血圧③末梢性浮腫などあります。

 

ハルロピテープ が2020年12月1日より長期処方可能となりました。

ロピニロールの貼付剤です。以下が特徴です。

① 徐放剤より夜間にも持続的に効くため、起床時の状態が良い

② 消化管の吸収を介さない、肝臓の初回通過効果が少ないこと

③ ロチゴチン(ニュープロパッチ)より接触皮膚炎が少ない

 

MAO-B阻害薬

L-DOPAの効果、持続時間を延長する目的で使用します。

現在セレギリン、ラサギリン、サフィナミドがあります。セレギリンは最も古くからあり、単独投与が認められています。ラサギリンも単独で行けそうです。ラサギリンは更に不眠例にも良いとされています。

 

サフィナミド

サフィナミドは全2者が非可逆的なのに対し、可逆的で、電位依存性Na channel阻害作用を介するグルタミン酸放出抑制作用も併せ持つことが特徴とされています。

特徴をまとめると

① MAO-B阻害の高い選択性、可逆的

  MAO-A阻害するとチーズ効果

*チーズ効果 

MAO阻害剤を内服している患者が、チーズ、ワインなどチラミンを多く含む食物を摂取すると、チラミン分解阻害によりチラミン中毒(急激な血圧上昇(高血圧クリーゼ)、顔面紅潮、心拍数増加など)呈することあり

 

② 電位依存性Naチャネル阻害 ⇒ グルタミン酸放出阻害

   ⇒ ジスキネジア抑制、痛み抑制効果

  *D2活性化 STN→GPi/SNrのGlu抑制

   D1活性化 ST→大脳皮質のGlu抑制 Wearing-offに効果

    ジスキネジア:D1受容体亢進による

 

65歳未満の早期からL-DOPAを投与すると運動合併症を起こしそうな若年の方なら最初に考慮してもよいです。

MAO-B阻害薬は、後述のCOMT阻害薬と違い単独での効果が言われています。

 

COMT阻害薬

ドパミン脱炭酸酵素を阻害 

→ COMTによる代謝割合が大きくなる

→ 3-O methyldopa増加

→ L-DOPAのBBB通過阻害

 

エンタカポン、オピカポンがあります。

エンタカポンが最初に発売され、レボドパ・カルビドパ・エンタカポン(L50:C5:E100)として合剤もあります。

エンタカポンはレボドパ消失半減期を1.3倍延長するとされています。

 

オピカポン

1日1回投与ですむことが特徴です。

24hr効果あり(コムタン 4hr) COMT阻害 30%程度強い

寝る前に内服することで1回目のL-DOPAの効果が得やすい可能性があります。

 

BIPARK-1(ビパーク)試験ではオピカポン50mgとエンタカポン200mgを比較して優位にoff時間を短縮させた結果が得られています。

Tmaxを遅延させることなく、L-dopa暴露量(AUC)を増加させ、L-DOPAの有効性を上げるとされます。

副作用はジスキネジア9%,便秘 4%, 起立性低血圧 3%, 幻覚 2%とあります。

ガイドラインでは、 COMTはMAO-Bより幻覚が少ない位置づけのようです。

 

COM阻害剤は、non-responderがある一定存在します。

COMT遺伝子多型 Val158Met

Val/Val 効果〇 

Met/Met 効果×

Val/Met 効果△

日本人比率は50:10:40のようです。

人によっては2-3hronが延長を期待できるようです。

 

 

AdenosinA2阻害薬

イストラデフィリンがあります。

ジスキネジア少なく、off時間を短縮するとされます。

半減期 54時間

カフェインもアデノシン受容体拮抗薬であり、抗パーキンソン病薬の中では珍しく覚醒作用があり、朝投与がよいようです。

 

ゾニサミド

ジスキネジア少なく、off時間を短縮するとされます。

半減期 100時間

MAO-B作用も併せ持つとされます。

L-DOPA不応性の振戦に効果があることがあります。

 

まとめ

現在のところまとめると

ざっくりと典型例への投与順番は

①L-DOPA

②DA agonist

 

 Wearing offが出てくれば

③COMT阻害薬

③④MAO-B阻害薬

 

幻覚̟⊕ or ジスキネジア⊕ 強い場合

③ゾニサミド

③④イストラデフィリン

 

あくまでも上記は個人的な位置づけです。