リハヤートのメモリーノート

リハビリテーション医が、忘備録として思いついたことをつづります

ARNI(アンギオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)

ARNI(アンギオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)は、商品名エンレストという名前で、発売されています。

これはRAAS(レニンアンギオテンシンアルドステロン系)阻害による降圧作用及びネプリライシン阻害によるナトリウム利尿ペプチド (NP)の作用が増大し、血管拡張、利尿、尿中Na排泄、交感神経系抑制、心肥大抑制などの作用を有します。

つまりざっくりといえば次の2つの作用機序を併せ持つ薬となります。

 

ARNI = ARB(アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬) + HANP

          高血圧             + 慢性心不全

なぜ絶食中の人に中心静脈をいきなり始めてはいけないのか?

 絶食中の人に末梢点滴を行うと少なくとも一日に必要なカロリーを入れることは困難です。それではいきなり高カロリー輸液を入れたらよいではないかという考えになるのですが、そう簡単ではありません。その理由として再栄養症候群 (refeeding syndrome)を起こしうるからということがあります。

 再栄養症候群とは、極度の低栄養状態から、再栄養により栄養状態が急速に改善することによって起こります。

機序としては、まず炭水化物の摂取により、糖代謝の促進がおきます。

その際に大量のリン酸が必要となり、リン酸が細胞外から細胞内に移動し、低リン血症となります。

そのため全身のATPが不足し、赤血球2,3-DPGが減少することで、酸素運搬能力が低下し、心不全、呼吸不全など起こすと考えられます。

血清リン酸濃度を再栄養開始時から1週間ほど測定し、補正する必要があります。

 

このため絶食状態が続いたとき栄養を開始する場合、いきなり高カロリー輸液を開始することは避けて、徐々にカロリーを上げた方がよいとされます。

銀杏(ぎんなん)

銀杏は、おめでたい席や茶わん蒸しなどでみられますが、食べ過ぎに注意です。

銀杏はいちょうの木の果実部分です。そもそもいちょうの木は中国原産で、日本、台湾あたりにしか残存していおらず、欧米では食べられていないようです。滋養強壮などの効果が知られています。

 ただ、メトキシピリドキシンというビタミンB6に非常に構造式の似た成分があり、体内でビタミンB6の働きを阻害して、ビタミンB6欠乏症となり、てんかんや痙攣をおこすことがあるようです。

特に小児に起こりやすいため、多くても2,3個にしておいたほうが良いようです。

パーキンソン病とインフルエンザ

パーキンソン病の人でインフルエンザ感染後10年超における発症リスクが70%以上上昇というレポートが出たようです。(JAMA Neurol)

インフルエンザ以外の複数の感染症との関連は見られなかったようです。

原因としてはパーキンソン病前駆期に、運動症状以外の症状が出現しており、感染リスクが上昇していた可能性があるとのことです。

 他の感染症との関連は見つかっていないことより、偶然かもしれませんが今後原因が分かるかもしれませんね。

 

脳梗塞の抗血小板療法について

 脳梗塞予防薬として、ラクナ梗塞など小さな梗塞の場合は、抗血小板剤を1剤あるいは2剤で投与を開始します。アテローム血栓脳梗塞やBADなどの場合は、抗血小板剤2剤で開始することが多いようです。

 これらを裏付けるものとして、CHANCE trial (Clopidogrel in High-risk patients with Acute Nondisabling Cerebrovascular Enents) NEJM 2013 というstudyがあります。発症から24時間以内に治療可能なTIAあるいは軽症脳卒中患者に対して、90日間の再発予防についてクロピドグレル+初期21日間のアスピリン併用が、アスピリン単独と比較して優位に優れており、出血リスクも上昇しなかったという結果が出ています。

 TIAあるいは軽症脳卒中発症の3か月以内の脳卒中再発率は10-20%程度といわれており、大部分は2日以内に発症するといわれています。

 一方ハイリスクの脳卒中患者で両者の併用療法は累積的に出血のリスクを増加するといわれており、3か月以内にとどめることが推奨されています。

結核感染の判定検査

結核菌に感染しているかどうかを判定するものとして、インターフェロンγ遊離試験 IGRA (interferon-γ release assay)と呼ばれるものがあります。

QFT(クオンティフェロン)T-spotがあります。

QFTは、3種類の結核菌群特異抗原で血液を刺激し、産生されたインターフェロンの総量を測定します。T spotインターフェロン-γを産生した細胞(スポット)を測定します。

感度、特異度はいずれも同程度です。

 ツベルクリン反応が従来行われてきましたが、日本ではBCG接種率が高いこと、非結核性抗酸菌症の陽性率が高いことより、ブースター反応が起こることより、特異度が低いため、使用されなくなっています。

エスプーマ

フレンチなど高級店などでおしゃれに見せるためにエスプーマという方法で、液状の食材に亜酸化窒素を混ぜてムーズ状にする技法があります。

 医学に関係なさそうですが、高齢者など嚥下障害をきたした方に対して、このような形状にすることで誤嚥のリスクを低くすることに応用できるのではないかとされています。

一般には、水などさらっとしたものは(通過速度が速いため)誤嚥しやすく、とろみをつけると誤嚥しにくくなるとされます。ヨーグルト、プリンなども比較的食べやすい形態です。