リハヤートのメモリーノート

リハビリテーション医が、忘備録として思いついたことをつづります

認知症 AD,DLB,FTD 

認知症で有名なものとして、アルツハイマー認知症(AD)、脳血管性認知症、びまん性レヴィ―小体病(DLB)、前頭側頭型認知症(FTD)などあります。

認知症学会からAD,DLBD,FTDについての講演をまとめてみたいと思います。

 

(1)アルツハイマー認知症(AD)

 

病態

完全にわかっていないところがありますが、有名なものとして以下のものが挙げられます。⇒はそれに対する治療です

                    第1世代

(1)コリン仮説         ⇒ コリンエステラーゼ(ChE)阻害剤

(2)グルタミン酸神経毒仮説   ⇒ NMDA受容体拮抗薬

                    第3世代

(3)アミロイド仮説      アミロイドβは、タウ蛋白を標的とし病態を

                就職する薬剤    

 アミロイドβのオリゴマー化 ☞老人班  ⇒ 抗アミロイドβ抗体 Aducanumab

→タウの異常リン酸化

→神経毒性

 

画像所見

画像検査としては臨床症状発症前から早期発見できないかということで以下のような検査が挙げられます。

 

アミロイド沈着    アミロイドPET

 タウ蛋白         タウPET

  糖代謝低下       FDG-PET

   血流低下       SPECT

    大脳委縮      MRI

      臨床症状出現

 

 →→→→→→

 10~20年

 

MRIの補足

65歳以下の若年発症の時、側頭葉内側の萎縮目立たず、頭頂葉の萎縮目立つ

 

治療薬

ChE阻害薬

ドネペジル 

基本薬剤

ガランタミン

AChE+ニコチン性作用

ニコチン:APL(Allosteric Potentiating Ligand)アロステリック活性化リガンド作用

 

リバスチグミン

AChE+BuChE(ブチル)作用

病態が進行するとAChEは低下、BuChEは上昇するといわれています。これはグリアからBuChEを作れるからと説明されます。

 

     ドネペジル     ガランタミン         リバスチグミン

長所 陰性BPSDに有効     進行抑制期間が       食欲促進

                ドネペジルより短い      CYPの影響少ない

   1日1回                 ニコチン作用(不安、脱抑制)

  1から2週間で維持量到達  脳血管障害に伴うADに有効

 

短所 陽性BPSD        CYPの影響受けやすい     かぶれ

                1日2回

 

 

副作用

ドネペジルは悪心、嘔吐があり、1か月で減ってくるため、最初は少量から開始します。

ガランタミンは徐脈、失神、QT延長に注意です。

 

予防

年期はメタボ

年期はフレイル

 

有名なキャッチフレーズとして、パーソン・センタード・ケアというものがあり、

認知症の人の言動の意味を洞察してケアするというものです。

 

(2)レヴィ―小体型認知症(DLB)

 

臨床症状

80%に幻視が起こるとされており、ぼんやりあいまいではなく、はっきりとしたものが見えるのが特徴です。

誤認妄想といって、カプグラン症候群(人が入れ替わる)、プレゴリ症候群(どれも同じ人に見える)、鏡現象(鏡に向かって話しかける)など見られます。

また、嫉妬妄想のリスクが高いとされています。

 

画像検査

SPECTで、後頭葉低下が典型ですが、CIS (Cingulate island sign)といって、後部帯状回の血流が相対的に保たれるものがあります。

 

MIBGシンチと、DAT scanの組み合わせでも種々の鑑別が可能とされています。

MIBG低下  PD,DLB,PAF(panautonomic failure)

DAT低下   PD,DLB,MSA,FTD

※ ADはMIBG,DATいずれも正常です

 

(3)前頭側頭型認知症(FTD)

 

臨床症状

人格変化がみられ、我が道を行く行動をとります。また、常同行動といって同じことをし続けます。滞続言語(同じ言葉を繰り返す)、常同的食行動(同じものを食べ続ける、甘い辛い物が好き、90%程度に見られる)、常同的周遊(同じコースを散歩する、時刻表的生活)などあります。

外出時、ADは、何かを求めて徘徊しますが、FTDは迷うことはないです。ADは安心させることが大切ですが、FTDは安全に付き添って周遊させるといった対策が異なります。

 

画像

knife blade atrophyと呼ばれる所見があります。

 

ケア

常同行動を考慮して、家では同じ椅子に座らせる、プチプチなど目が離せない時は同じことをさせておく(常同セット)、デイケアでは集団療法はさせないなどの配慮が必要です。

うつ、統合失調症としっかり鑑別する必要があります。

 

忘備録

BPSD

妄想 

 被害妄想(物とられ妄想) 50%

  対策:リスペリドン少量

不安、焦燥、興奮

 対策:抑肝散、メマンチンは中から重度ではfirst choice

睡眠障害

 ADの1/4~1/2

 対策:トラゾドン少量、メラトニン、ラメルテオン

アパシー

 ADの初期から最もよく見られる

 対策:ドネペジル

抑うつ

 対策 SSRI,SNRI,NASSA

 

画像所見 その他の疾患の特徴所見

 

微小血管病 cSVD (Cerebral small vessel disease)

Ⅰ~Ⅵ型まであり

T2 stirで低下します

基底核PVS         高血圧型

反乱炎中心PVS  CAA

 

CADASIL

前側頭極の皮質下白質が高信号になります。

 

Hutington病

尾状核の萎縮が有名ですが、被殻萎縮のほうが分かりやすい

 

MELAS

ASL(動脈スピンラベリング)還流MRIのFLAIR, DWIの血流低下