輸液
輸液にはいろいろな種類があります。
まず基本となるものとして、生理食塩水があります。
これはヒトの体液が0.9%NaClで同じ浸透圧となることより、生理食塩水は0.9%として作られます。
またリンゲル液というものがあります。これは生理食塩水にK,Caを加えたもので、より生理的な成分としたものです。
さらに乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液があります。これは乳酸、酢酸が体内で産生になることを中和することを目指して(完全体?)追加したものです。
一方、ブドウ糖でヒトの浸透圧と同じにしたものが5%ブドウ糖液です。
同じ浸透圧ですが、血管内に入る量が違います。
生理食塩水 25%血管内に入る
ブドウ糖液 8%血管内に入る
また、これとは別に1号液から4号液まで製品化されています。
1号液 生食 1/2 + ブドウ糖液
2号液 生食 1/3 + ブドウ糖液
3号液 生食 1/4 + ブドウ糖液
4号液 生食 1/5 + ブドウ糖液
脱水の場合は何を点滴すればよいのでしょうか。
脱水の時、有効循環血漿量が減少しており、この時抗利尿ホルモン (ADH)が分泌され、低ナトリウム血症に傾いています。ここで自由水を投与するとさらに低ナトリウム血症を助長します。
よって、まずは生理食塩水を投与することとなります。
片頭痛の治療 update
片頭痛について最近の治療についてまとめます。
現在の片頭痛で急性期治療の主役としてトリプタンがあります。
トリプタンは5-HT1B/1D/1F受容体作動薬です。
5-HT1B受容体刺激は血管収縮作用があるため、心血管系合併症を有する方には使用できません。
ここで、頭痛の発生機序についてですが、頭痛発生部位は硬膜と考えられ、三叉神経一次ニューロンが分布しています。三叉神経無髄C繊維からCGRP(calcitonin gene-related peptide)が異常放出されると、Aδ繊維にあるCGRP受容体に作用して、末梢性感作が誘導されます。さらに、二次ニューロン(三叉神経脊髄路核)、三次ニューロン(視床)レベルで中枢性感作が続発することで、血管拍動による拍動性頭痛として感知されます。
また視床下部に作用して自律神経反応を、辺縁系に作用して不快な感情・記憶を引き起こします。
なお、あくび、疲労感などの予兆があることがありますが、これは視床下部に、閃輝暗点などの前兆は、大脳皮質への皮質拡延性抑制(CSD: cortical spreading depolarization)によると考えられています。
トリプタンはCGRP放出抑制に作用されますが、5-HT1B受容体刺激による血管収縮が問題となります。
選択的5-HT1F受容体作動薬であるディタン (ditan)とCGRP受容体拮抗薬であるゲパント(gepant)が、開発されました。
以前にまとめましたが、発作予防薬としてはCGRP関連モノクローナル抗体としてガルカネズマブ、フレマネズマブ、エレヌマブが認可されています。
以上最新の治療薬をまとめると以下のようになります。
発作予防薬
CGRP関連モノクローナル抗体 ガルカネズマブ、フレマネズマブ、エレヌマブ
急性期治療薬
選択的5-HT1F受容体作動薬 ディタン (ditan)
CGRP受容体拮抗薬 ゲパント(gepant) ※発作予防薬としても
ただし、ditan, gepantは海外の未使用中であり、今後日本での承認が待たれています。
コロナウイルスの作用機序と免疫
今回はコロナウイルスの侵入とその防衛についてまとめてみます。
コロナウイルスが感染するヒトの細胞は、膜表面にACE2 (angiotensin-converting enzyme 2)を有しています。
ACE2はⅡ型肺胞上皮、血管内皮、口腔粘膜、肝・腎・心・腸などに分布しています。肺炎、血栓、味覚障害などはこれで説明できますね。
SARS-CoV-2のspike (S)タンパク質はS1(受容体結合領域:receptor binding domain RBD)、S2(膜融合ペプチド:fusion peptide FP)、細胞膜貫通領域(transmembrane)で構成されています。
そしてこれらは以下の2つの機序で宿主細胞に侵入します。
①TMPRSS1プロテアーゼ (transmembrane protease serine 2)は、S2を切断してS2'に変換
②細胞宿主側のFurinがS1とS2の接合部分を切断
自然免疫系の応答として2つの機序が考えられます。
①Ⅰ型インターフェロン産生を誘導する経路
②NLRP3インフラマソームを活性化する経路
Ⅰ型インターフェロン(IFN)は、簡単に言えば一般に肝炎治療などにも利用されるようにウイルスを直接的に攻撃する機序です。
NLRP3インフラマソームは、感染した細胞を細胞死に陥らせるなど、Th1免疫を働かせるなどの働きを行います。
SARS-CoV-2は、このⅠ型IFN応答を抑制します。すると、NLRPインフラマソームのみ活性化され、炎症性サイトカインが産生され、感染した細胞を細胞死に至るように働き、この強い免疫応答が重症化につながるとされています。つまり免疫のアンバランスを引き起こすことが重症化につながりやすいということです。
液性免疫、細胞性免疫も関与していますが、自分でも系統的にまとまっていません。また、整理されればまとめていきたいと思います。
腎機能障害の高血圧管理
ここでは腎機能障害の高血圧管理についてまとめます。
高血圧の治療薬はいろいろな種類があります。
血圧の定義は以下のようになります。
血圧=心拍出量×末梢血管抵抗
(1)心拍出量を下げる
①利尿薬
②β blocker
③減塩
(2)末梢血管抵抗を下げる
①レニンアンギオテンシン系薬剤
②Ca拮抗薬
③α遮断薬
腎機能障害の場合
125/75までは血圧依存性に腎機能低下抑制効果があり、110を下回るとメリットがないようです。
心電図で陰性T波、左脚ブロックを認める場合、蛋白尿顕在化など腎機能障害がある場合に血圧が下がらなければ速やかに専門医に相談したほうが良いようです。
降圧薬使用に当たっての注意事項は以下の通りです。
①Ca拮抗薬
下腿浮腫、胸やけ
②サイアザイド利尿薬
低ナトリウム血症
アーユルヴェーダ
アーユルヴェーダは、健康志向の方の間でも有名になってきましたね。
元々はインドの伝統的な医学です。
ちなみに世界三大伝統医学はアーユルヴェーダ、ユナニ医学(ギリシャ・アラビア)、中国医学だそうです。
サンスクリット語のアーユス(Ayus)が生命、ヴェーダ(Veda)が科学が語源となっています。
不純物などを意味する「ドーシャ」といわれるヴァータ VATA(風/空)、ピッタ PITTA(火/水)、カパ KAPHA(土/水)の3つが「トリ・ドーシャ」といわれ、それらのバランスを保つことが根本理論となります。
最近は、アーユルヴェーダを意識したインド料理店があります。
ドーシャの中で、特にどれか強い傾向のある時はそれを補うものをとるようにするのが良いようです。漢方にも近い考えですね。
私はめんどくさいので自分が今どういう状態かなどあまり気にしてせんが、薬膳料理のように健康に意識したものを食べると、よいことをしたと思って満足しています。