コロナウイルスの作用機序と免疫
今回はコロナウイルスの侵入とその防衛についてまとめてみます。
コロナウイルスが感染するヒトの細胞は、膜表面にACE2 (angiotensin-converting enzyme 2)を有しています。
ACE2はⅡ型肺胞上皮、血管内皮、口腔粘膜、肝・腎・心・腸などに分布しています。肺炎、血栓、味覚障害などはこれで説明できますね。
SARS-CoV-2のspike (S)タンパク質はS1(受容体結合領域:receptor binding domain RBD)、S2(膜融合ペプチド:fusion peptide FP)、細胞膜貫通領域(transmembrane)で構成されています。
そしてこれらは以下の2つの機序で宿主細胞に侵入します。
①TMPRSS1プロテアーゼ (transmembrane protease serine 2)は、S2を切断してS2'に変換
②細胞宿主側のFurinがS1とS2の接合部分を切断
自然免疫系の応答として2つの機序が考えられます。
①Ⅰ型インターフェロン産生を誘導する経路
②NLRP3インフラマソームを活性化する経路
Ⅰ型インターフェロン(IFN)は、簡単に言えば一般に肝炎治療などにも利用されるようにウイルスを直接的に攻撃する機序です。
NLRP3インフラマソームは、感染した細胞を細胞死に陥らせるなど、Th1免疫を働かせるなどの働きを行います。
SARS-CoV-2は、このⅠ型IFN応答を抑制します。すると、NLRPインフラマソームのみ活性化され、炎症性サイトカインが産生され、感染した細胞を細胞死に至るように働き、この強い免疫応答が重症化につながるとされています。つまり免疫のアンバランスを引き起こすことが重症化につながりやすいということです。
液性免疫、細胞性免疫も関与していますが、自分でも系統的にまとまっていません。また、整理されればまとめていきたいと思います。