コロナワクチン
コロナワクチンのアナフィラキシーについてまとめてみます。
ファイザー社とモデルナ社の2つがmRNAワクチンと呼ばれる新しいタイプのワクチンで、現在のところ最も効果があるとされています。
ワクチンの問診にも携わることが多くなってきますが、一番気になるのがアレルギー反応です。
そこでアレルギー症状についてまとめてみます。
まず重篤されているアレルギー反応は、アナフィラキシーショックと呼ばれるもので、IgEが関与するとされています。
最初にアレルゲンが体内に入るとIgEが産生されマスト細胞に結合し待ち構えます。再度アレルゲンが入ってくると、マスト細胞からロイコトリエン、ヒスタミン、プロスタグランジンなどの化学物質が放出され、これがアレルギー反応いわゆるアナフィラキシーショックを引き起こします。即時型アレルギー(Ⅰ型アレルギー)ともいわれます。
Ⅱ型は抗原とIgG,IgMが反応して、マクロファージ(貪食細胞)や活性化された補体が細胞を直接攻撃する細胞障害型アレルギーです。
Ⅲ型は免疫複合体を形成して障害する免疫複合体型です。
Ⅳ型はTリンパ球が関与して起こる免疫細胞型で、遅延型とも呼ばれます。
すなわち問診時に起こって緊急性があるのはIgE関与のⅠ型ということになります。
Ⅰ型アレルギーの場合、ヒスタミンが血管に付着して拡張て赤血球がたくさん通るためピンクに見えます。血管が拡がると、血管の隙間から水が漏れて膨疹になります。
鼻が腫れる→鼻づまり
肺が腫れる→喘鳴
消化管が腫れる→腹痛、下痢
といったことも起こります。
このワクチンに含まれる成分としてアレルゲンになりうるものがPEG(ポリエチレングリコール)とポリソルベートがあります。
PEGは化粧品などにも広く使われており安全とされていますが、まれにアレルギー反応を起こすことがあります。大腸検査前に用いるニフレックなどはこの製剤です。
また、neural lipid(DSPC)という成分もワクチンに含まれており、これが補体(C3a,C5a)を活性化します。これが肥満細胞につくと脱顆粒を起こして、ヒスタミンやロイコトリエンを放出します。
皮膚は、免疫反応を起こしやすく、ピーナツオイルや小麦が入ったものなどアレルギーを起こしやすいものを皮膚になるのは避けた方がよいとされます。
抗生剤もゲンタシンなどアレルギーを起こしやすいものが使用され、ペニシリンやセフェム系は使用されていません。
経口からは免疫反応が起きないようになっているようです。
抗ヒスタミン剤にもPEGが入っていることがあり、その場合車を運転する場合ビラノア®、眠気が問題にならない場合ルパフィン®が勧められるようです。
即時型、ワクチンの場合30分以内に起こるのが90%程度のようですが、30分以上経過して起こることが10%程度あるため、注意が必要です。
ファイザー製で5/100万人、モデルナ社で2.8/100万人程度のようです。
1回目のアナフィラキシーの方が強いようです。
皮膚症状(蕁麻疹、紅潮)、循環症状(血圧<90、頻拍>100)、呼吸症状(喘鳴、頻呼吸>16/分)のうち、2つそろえば、アナフィラキシーを強く疑います。
アバタセプト(オレンシア®)という関節リウマチに使用する薬剤は、抗原提示を抑える働きがあるため、投与感覚に注意が必要です。またとJAK阻害薬も免疫を抑える薬で、これも投与タイミングに注意が必要です。
また接種2週間前まで発熱などないことが目安になるようです。
では、アナフィラキシーが起こったらどうするか。
アドレナリン0.3mgを大腿前外側に打ちます。効かなければ5分ごとに3回打ちます。
筋肉を拡張させるため、皮下注ではなく筋注にする必要があります。
βブロッカーを内服していると、アドレナリンが効かなくなる場合があり、グルカゴン1mg静注します。ただし、嘔吐しやすいです。
下肢挙上、酸素投与、点滴も必要です。
治まっても数時間経って起こる二相反応があり、注意が必要です。
普段目の当たりにすることが少ないため、実際に起きた時にあたふたしないように理論武装しておく必要がありますね。