MAO-B阻害薬(まとめ)
パーキンソン病治療のMAO-B阻害薬について現在の位置づけについてまとめます。
DA agonistとMAO-B阻害薬についてはどちらがよいのか?
一般的にはDA agonistがL-DOPAに続いて2番目に使用されることが多いです。
NICEガイドラインでは、DA agonistは衝動制御障害、幻覚、過眠傾向となることをしっかり説明するよう表記されている。
PD MED試験では、DA agonistと比較して、運動症状、日内変動に対して同等以上の効果ありとされている。
以上より必ずしもDA agonistが2番手とする必要はない可能性があります。
また、パーキンソン病の進行期に使用されていることが多いことから、効きが悪い、幻覚などの副作用が多いというイメージを持たれやすい可能性もあります。
現在使用されている薬剤は以下の3種類です。
(1)セレギリン
(2)ラサギリン
(3)サフィナミド
(1)セレギリン
元々は抗うつ薬として開発され、ハンガリーの現在サノフィ株式会社で発見されました。1975年Birkmayerよりパーキンソン病に効果があると発表されました。
1998年日本で発売開始となっています。現在パッチ製剤として大うつ病性障害としても発売されています。単独で使用することができ、古くからの薬であり、エビデンスは多いです。
セレギリンは、10mgを超えるとMAO選択性がなくなるため注意が必要です。
(2)ラサギリン
早期の効果について、ADAGIO(アダジオ)試験ではearly startの方がdelayed startと比較して、効果ありとの結果、TEMPO試験も同様の結果でした。
進行期については、PRESTO試験、LARGO試験で効果を示されています。
セレギリンと同様、単独で使用できます。
2018年のMovement Disordersで、International Parkinson and movement disorder society evidenced-based medicine reviewでは、単独投与としてセレギリン、ラサギリンは有用で、LDOPA追加にラサギリンが有用との結果が出ています。
セレギリンよりMAO-B選択性が高いとされ、セロトニン症候群、チアミン中毒といった副作用が起きにくいと思われます。
(3)サフィナミド
Na channel阻害、Ca channel調節作用があり、グルタミン酸放出抑制があるというのが、他2剤と異なる特徴です。ジスキネジア改善効果も期待されるようです。
また他2剤は非可逆性ですが、サフィナミドは可逆性です。
MAO-B選択性も高く、セロトニン症候群、チアミン中毒といった副作用が起きにくいと思われます。
そのため、他2剤から切り替える場合、中止して2週間空けてから投与することとなっています。
日本人を対象としたME2125-3試験では、wearing off患者を対象として、一日平均on時間を50㎎で1.39時間、100mgで1.66時間延長しています。
ジスキネジアを悪化しないでオフ時間を延長させたという報告もあり、副作用の面からは使いやすい可能性があります。
ただ、単独では使用できません。
以上より初期から使用するならラサギリンを、L-DOPAと併用して使用するならラサギリン、サフィナミドという流れになりそうです。