リハヤートのメモリーノート

リハビリテーション医が、忘備録として思いついたことをつづります

サルコペニア

サルコペニアとは

ギリシャ語で「サルコ」は筋肉、「ぺニア」は喪失を表し、加齢による筋肉の減少を表す言葉です。

 サルコペニアの診断基準(AWFS2019)では、握力(男性26kg未満、女性18kg未満)、6M歩行で歩行速度(1.0m/s未満)、5回帽子立ち上がりテスト(12S以上)

SPPS(Short Physical Performance Battery) 9点以下、骨格筋量DXA,BIAなどの項目からサルコペニアと診断されます。

 

似たようなものとしてロコモ、フレイルなどありますが、おおまかにはフレイル>ロコモ>サルコペニアとなり、それぞれに包括されます。

 

サルコペニアの予防は、ありきたりですが運動と栄養が基本です。

 運動は下半身を中心にウオーキングなどとなります。高齢者の場合レジスタンス運動として、低負荷・高反復でもよいとされます。

 栄養はタンパク質を1.0-1.5kg/日目安に3食に均一に摂取すること、ビタミンDを摂取することが挙げられます。

 

廃用とは

もう一つリハビリテーションを行う上では、廃用症候群といって、筋肉を使用しないことにより(廃用)筋力が低下するものがあります。

 一般に筋力の30%を超える負荷では筋力は増加し、筋力維持には20~30%の負荷が必要で、20%未満の負荷では維持できないとされます。

 全く筋肉を使用しないと1日1~1.5%の筋力低下をきたし、2週間で20%程度筋委縮が見られます。特に下肢の進行が速いです。

筋肉量は、筋繊維の大きさと繊維数で構成されますが、筋萎縮は筋繊維の縮小が主となります。また短縮位で固定される方が、伸長位で固定されるより著しいとされます。

 

筋萎縮のメカニズムとしてはたんぱく質分解の亢進によるもので、特にユビキチン・プロテアソーム系がメインになります。その他リソソームのカテプシン系、Ca依存性のカルパイン系、オートファジー系などもあります。

 

廃用による筋委縮はタイプⅠ繊維という遅筋が萎縮が強く、加齢による筋委縮はタイプⅡ繊維という速筋が萎縮が強いとされます。

お年をとられた方がスピードが遅くなるということでイメージは合いそうですね。