リハヤートのメモリーノート

リハビリテーション医が、忘備録として思いついたことをつづります

パーキンソン病の排尿障害

パーキンソン病の排尿障害は、70%に前頭葉-ドパミン受容体D1障害によると考えられる過活動膀胱(OAB:over acting bladder)を認めます。過活動膀胱により膀胱が異常に活動してしまい頻尿になりmす。パーキンソン病といえば運動や認知、腸の動きはすべて遅くなるイメージなのですが、膀胱は活動的になるというのは興味深いですね。

特に夜間頻尿が問題になることが多く、誘因としてはOABに加え、睡眠障害、夜間多尿の3つが原因となりうる様です。夜間多尿は軽度心不全が原因で起こるとされ、パーキンソン病や多系統萎縮症(MSA)などの場合抗利尿ホルモンサージという機構が障害されて起こるようです。

なお、残尿がみられることもあり、膀胱に100ml以上残っている場合異常と定義されています。なお、夜間多尿は500ml以上の場合を指します。

全世代の男性の20%が前立腺肥大があるとされています。

夜間多尿に対して一つはα1-blockerが使用されます。α1受容体が尿道にありこれが働くと尿道が収縮します。これを抑制することにより尿道が拡張して排尿しやすくなります。

2つ目は抗コリン薬を使用します。コリンとはアセチルコリンのことで、その中のムスカリン受容体に働くことで膀胱を収縮する働きがあります。これを抑制することで膀胱の過剰収縮を抑制します。ただ抗コリン薬は認知症を悪化する恐れがあり、高齢者や認知症をきたしやすいパーキンソン病には使いにくい側面があります。

そこで最近ではβ3 agonistを使用することが増えています。β3受容体は膀胱を弛緩させる働きがあり、α1とは逆の働きがあります。

 

ドパミン治療についてはD1が関与しているといわれており、エビデンスが少ないですが、効果は期待できます。