リハヤートのメモリーノート

リハビリテーション医が、忘備録として思いついたことをつづります

変形性膝関節症

整形外科領域についても、適宜まとめてみます。

変形性膝関節症(OA)は、高齢化社会に伴い増加しています。

特に高齢女性に多いとされています。

 

以下に専門的に学んだことを列挙します。

 

【痛みの機序】

OAの痛みの機序としては、次のようなものがあります。

 

アクセルに当たるもの

(1) 末梢性感作(滑膜炎、骨髄病変)

(2) 中枢性感作

ブレーキに当たるもの

内因性鎮痛機能感作 

 

末梢性感作

①滑膜炎

  微小なダメージを繰り返すことより起こりやすい。

  関節内ヒアルロン酸注射などで対処

  関節鏡下切除などは最近行わない傾向

②骨髄炎

  荷重が強いと起こしやすい。

  両松葉杖などで免荷を図ることが基本。ただ、大変なため手術に至ることも

 

骨粗鬆症と変形性膝関節症は相関しており、ビスホスホネートなどの治療により痛みの程度が低下しやすいとされています。

 

中枢性感作

NGF(nerve growth factor)が重要な働きをされているようです。

軟骨には神経はありませんが、軟骨がすり減ると破骨細胞などが出現し、NGFの働きなどで神経が伸長し、痛みを感じるようになります。

これに対して抗NGF抗体を治療薬とする治験が進行しているようです。

 

【治療】

保存的治療で、最も効果が高いのは、運動です。

運動することにより軟骨がすり減るんじゃないかと心配されるようですが、基本的には大丈夫とされているようです。

軟骨がなくなったら手術に行きやすいですが、絶対ではなく、痛みや活動量の程度によって決めていくようです。