なぜ絶食中の人に中心静脈をいきなり始めてはいけないのか?
絶食中の人に末梢点滴を行うと少なくとも一日に必要なカロリーを入れることは困難です。それではいきなり高カロリー輸液を入れたらよいではないかという考えになるのですが、そう簡単ではありません。その理由として再栄養症候群 (refeeding syndrome)を起こしうるからということがあります。
再栄養症候群とは、極度の低栄養状態から、再栄養により栄養状態が急速に改善することによって起こります。
機序としては、まず炭水化物の摂取により、糖代謝の促進がおきます。
その際に大量のリン酸が必要となり、リン酸が細胞外から細胞内に移動し、低リン血症となります。
そのため全身のATPが不足し、赤血球2,3-DPGが減少することで、酸素運搬能力が低下し、心不全、呼吸不全など起こすと考えられます。
血清リン酸濃度を再栄養開始時から1週間ほど測定し、補正する必要があります。
このため絶食状態が続いたとき栄養を開始する場合、いきなり高カロリー輸液を開始することは避けて、徐々にカロリーを上げた方がよいとされます。
脳梗塞の抗血小板療法について
脳梗塞予防薬として、ラクナ梗塞など小さな梗塞の場合は、抗血小板剤を1剤あるいは2剤で投与を開始します。アテローム血栓性脳梗塞やBADなどの場合は、抗血小板剤2剤で開始することが多いようです。
これらを裏付けるものとして、CHANCE trial (Clopidogrel in High-risk patients with Acute Nondisabling Cerebrovascular Enents) NEJM 2013 というstudyがあります。発症から24時間以内に治療可能なTIAあるいは軽症脳卒中患者に対して、90日間の再発予防についてクロピドグレル+初期21日間のアスピリン併用が、アスピリン単独と比較して優位に優れており、出血リスクも上昇しなかったという結果が出ています。
TIAあるいは軽症脳卒中発症の3か月以内の脳卒中再発率は10-20%程度といわれており、大部分は2日以内に発症するといわれています。
一方ハイリスクの脳卒中患者で両者の併用療法は累積的に出血のリスクを増加するといわれており、3か月以内にとどめることが推奨されています。
結核感染の判定検査
結核菌に感染しているかどうかを判定するものとして、インターフェロンγ遊離試験 IGRA (interferon-γ release assay)と呼ばれるものがあります。
QFT(クオンティフェロン)とT-spotがあります。
QFTは、3種類の結核菌群特異抗原で血液を刺激し、産生されたインターフェロンの総量を測定します。T spotはインターフェロン-γを産生した細胞(スポット)を測定します。
感度、特異度はいずれも同程度です。
ツベルクリン反応が従来行われてきましたが、日本ではBCG接種率が高いこと、非結核性抗酸菌症の陽性率が高いことより、ブースター反応が起こることより、特異度が低いため、使用されなくなっています。